「笑う大天使」2巻完結

川原泉の作品は、よく哲学的であるとか、その豊富な知識量などを引き合いに出されるが、それよりもなによりも、エンターテインメントとしてしっかりと面白いことが重要だと思う。
まず、面白い、読んでいて心地よい、それを満たして上での付加価値なわけだから、よりありがたく感じられる。ただ哲学的なものを読みたければ難しい哲学書を読んでればいいのだ。
飽きのこないストーリーの展開、嫌味のないさりげないフィクション、登場人物の魅力、めりはりのあるギャグ。
そのどれをとっても一級品であるとうならざるをえない。
少女漫画は、ある一時期(通称24年組と呼ばれる)から色々と変化してきた。
それまで、可愛い主人公がかっこいい男に恋をして、すったもんだでハッピーエンドというものが少女漫画だったわけだけど、萩尾望都大島弓子らの手により、物語としてしっかりしたもの、人物の内面に迫ったものなど、深みが出た。
そして、おそらくその辺りのマンガを読んで育ったであろう川原泉の導き出した回答が、ここに現れているのだと思う。
色々な解釈ができて、様々な美辞麗句で誉めたてることができるが、単純に面白いマンガである。と人に薦められることほどありがたいことはない。