「家族のそれから」1巻完結

おおきく振りかぶって』でブレイクしているひぐちアサの初期の作品。
結婚したらすぐに女房が死んでしまって残された子供との生活をするおっさん、とホモの話の二本立てという、ちょっと聞くと重そうな感じがするが、そのあたりをサラっと描くのはさすが。
おそらく、描きたいのは、思考は環境に起因する。ということと、だけど思考は環境がすべてではない。ということなのかもしれない。
相手に感情をぶつけたいけれども、さまざまな因子が絡み付いてそれすらもままならないという崖っぷちの人間を描かせたら本当に上手。
落ち込んだ時に読むと、なんか釈然としないままに「それでも生きるか」という希望だかなんだかわからないものを感じれる良い漫画。
不幸なのは環境ではなくて、自分の気持ちだということを啓蒙的ではなく、柔らかく伝えてくれる。